脊椎内視鏡手術
脊椎内視鏡手術
脊椎疾患は、脊椎の中を通っている神経が圧迫されて痛みや痺れなどの症状が出現します。脊椎手術では骨や靭帯を切除することで神経の圧迫を解除することを行います。
今までは視野の確保のために病変と直接関係のない組織も切除や剥離をしていたため、傷口が10cm前後となったり術後の痛みも強かったのですが、近年では医療器械の発達に伴い脊椎の分野でも内視鏡手術が行われるようになりました。脊椎内視鏡手術では、18mmの傷口で円筒状の筒を挿入し、そこにカメラを取り付けて手術を行います。
手術は全身麻酔で行います。痛みの原因となっている部位に到達する必要最小限の皮膚切開と組織の剥離を行い、16mmの筒を挿入しモニターを見ながら手術を行います。神経を圧迫している骨や靭帯を切除し、圧迫されている神経の除圧を行います。通常手術時間は約1時間、出血は10ml程です。
*傷口(指1本と同じ大きさ)
手術翌日には歩くことができ、通常は3泊-5泊で退院が可能です。正常な組織を温存することができるため術後の痛みが少ないのが特徴です。
仕事などで長期入院ができない方や、術後の痛みに対して恐怖心がある方などには非常にメリットが多い術式です。
手術前日 | 入院 |
---|---|
手術当日 |
手術:全身麻酔で行います。 |
術後1日 |
朝食から食事開始します。 |
術後2日 | 点滴や傷口の管を抜きます。 |
術後4日〜7日 | 退院 |
術後2週間 | 軽作業が可能になります。 |
脊椎の手術方法は、神経を圧迫している骨や椎間板などを切除し神経を圧迫していない状態にする手術になります。
脊椎は身体の非常に深い場所にあるため、視野が悪い状態で手術をせざるを得ないこともあり、神経の周辺を操作している過程で神経を傷つけてしまうと、神経は回復することがないため非常に深刻な後遺症を残すこともあります。しかし、脊椎内視鏡手術は、体内の手術をする深い場所までカメラを挿入し光源も付いているため視野が非常に良好で安全に手術を行うことができます。
また、近年では脊椎専門のクリニックや小さな病院で脊椎手術を行う施設も増加しています。脊椎内視鏡手術の出現により、患者さんの負担の小さい手術が可能になりましたが、脊椎のすぐ近くには大動脈、腎臓、肺、腸管などの重要な臓器も存在し、大量出血や臓器損傷は脊椎手術では生じる可能性があります。
非常に稀ではありますが、脊椎の手術で万が一、術中に大量出血などの重篤な合併症が発生した際のリスクを考慮すると、脊椎手術は外科や集中治療室などの設備が整っている医療機関で手術を行うメリットが大きいと考えています。そのため当院では脊椎手術は行わず、医療設備が整っている総合病院である国立相模原病院と強い連携をとり、相模原病院の手術室や病室を使用し、当院医師が脊椎手術を行える体制を整えております。
手術時間 | 30分~1時間 |
---|---|
麻酔 | 全身麻酔 |
入院期間 | 5〜7日 |
歩行可能日 | 術後1日〜 |
診察、MRI
まず痛みの原因となっている診断を確定します。
内服、ブロックなどの治療
手術以外の方法をすべて行い、無効な場合は手術を検討します。
手術日決定
当院の外来で、国立相模原病院での手術日程を決定することができます。
(通常は、紹介先の病院を受診してから手術日程の調整になるため、クリニックの外来では手術日を決めることができず、いつ手術ができるかがすぐにわからないことが欠点でした)
国立相模原病院受診
全身麻酔をかけるために術前検査を行います。
入院、手術
手術前日に入院し、約5〜7日ほどの入院です。手術執刀はいつも診察している当院の医師が行います。
退院後当院外来でリハビリ
術後リハビリは不要なことが多いですが、日常生活における注意点など含め手術を行った医師が当院で術後の経過観察を行えます。
国立相模原病院脊椎治療センターの実績は上記の通りで2023年度は脊椎内視鏡手術だけで年間約300件の手術を行っており、すべての脊椎手術の9割を内視鏡手術で対応しております。特に、腰椎椎間板ヘルニアと腰部脊柱管狭窄症に対する脊椎内視鏡手術実績が多く、腰椎椎間板ヘルニアは100%を内視鏡手術で行い、腰部脊柱管狭窄症は96%を内視鏡手術で対応しております。腰部脊柱管狭窄症を内視鏡で手術する割合は全国と比較しても非常に高いです。
脊椎手術については、相模原病院で行わなくても全く問題ありません。当院医師が在籍していた、東京大学病院、横浜労災病院、稲波脊椎関節病院とは特に関係性が深く紹介することが可能ですが、ご希望の医療機関のどこにでも紹介も行うことができますので、お気軽にご相談ください。
手術を受けたいと積極的に考える患者さんは、まずいないと我々は考えております。脊椎手術は内視鏡の出現により、以前よりも安全に気軽にできるようになっていますが、全身麻酔で神経(脊髄)を直接触る手術もあるため、リスクも全くなくなったわけではありません。手術をしなくても治せる方法があるのであれば、その方法をすべて試したうえで、症状が改善しない場合の最終手段として手術を行うべきと考えています。
脊椎分野は整形外科の領域でも特に専門性が高いため、同じMRIの画像をみても医師の力量によっては診断がつかず見逃されてしまうことも少なくありません。当院では、国立病院で開業医の先生から紹介を受け、脊椎専門外来を行っている医師が、初診時から診察を行えるため、MRIで確実に正確な診断をつけることができます。
正確に診断をつけることで、痛み止めや湿布だけでなく、より専門的なブロック治療や効果的なリハビリ指導も行うことができ、実際に手術を行う場合のリスクやメリットを考慮したうえで、どのような治療がその患者さんに一番最適であるかを判断することができます。
我々自身の経験では、普段手術を行っている病院の外来では、手術に対し積極的な説明になり、手術を行っていないクリニックの外来では手術について否定的な説明になってしまい、混乱することもあるかと思いますが、当院では手術以外の方法も含めてすべて行えるため、純粋にその患者さんの痛みや背景を考慮したうえで本当に合った治療法を提供することができます。
TOP